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フィルムブーム再燃の中で、変わるネガフィルムの行方

現像

New York Times で、ニューヨークのマンハッタンに拠点を構える 42nd Street Photo のオーナー、Silvio Cohen 氏のインタビュー記事が掲載されています。42nd Street Photo は 1965 年に創業した老舗で、今日に至るまでフィルム撮影の機器販売や現像を事業として営んでいます。

https://r2.film-photo.net/e8778635-07bb-4bea-9be8-835e7e4ccc76.png

インタビューの中で、Silvio 氏は最近のフィルムブームに言及しつつも、「現像後のフィルム (=ネガ) を引き取りに来る人が激減している」とトレンドの変化について語っています。かつて、フィルムをスキャンしてデジタル化するという手法が一般的でなかった時代、顧客は常に現像されたフィルムを引き取りに来ていました。しかし、ネガフィルムのスキャンが一般的になり、デジタルデータが手に入りやすくなった結果、写真の物理的な記憶媒体であるフィルムに対する関心が薄れているようです。

記事では、同じくマンハッタンでフィルムの現像を手がける Bleeker Digital Solutions のオーナーの話も印象的です。あまりにフィルムが回収されないので、同社ではフィルムを 30 日しか保管しないルールに決めたとのこと。

フィルムの復権は確かなトレンドですが、ネガに対する人々の考え方はかつてとは大きく変わっているようです。ネガには化学的・物理的に撮影した瞬間が記録されているという魅力があるはずですが、その魅力が「再発見」される日は来るのでしょうか。富士フイルムもネガの整理方法を紹介していますが、現代にあった整理方法が再びトレンドとなれば、この潮流にも変化が起きるのかもしれません。