フィルム 600 本分の銀で指輪を生み出す:スペインの現像ラボによる再生プロジェクト
写真用フィルムの原材料として用いられる銀。古くから、フィルムを現像すると現像廃液に未使用の銀粒子が残ることは知られていました。この冬、スペインにあるフィルム現像ラボ CARMENCITA がこの廃液から銀を回収し、アクセサリーとして販売を始めました。
画像出典: carmencitafilmlab.com
写真用フィルムに使われる硝酸銀 (AgNO3) は、光によりハロゲン化銀を生成する特性を持っています。この技術が確立されてから約200年が経ちますが、銀は今なお写真プロセスの中核を担い続けています。
このプロジェクトを手がけたスペインのフィルム現像ラボ「CARMENCITA」によれば、使用済みの化学薬品から銀を回収し、精製工程を経て純度 99.9 %の銀を得ることに成功したとのこと。1 本の C-41 フィルムから約 0.0176 グラムの銀を回収でき、1 本の指輪を作るには約 600 本分のフィルムが必要となる計算です。
回収された銀は、CARMENCITA も拠点を置くバルセロナのジュエリーブランド「AGNO」の手によって指輪へと生まれ変わります。現在、この初回ロットはわずか20点のみの生産。ひとつひとつが異なるサイズや表情を持ち、バッチごとに異なるシリーズとして発売する予定となっているとのこと。
指輪ができるまでの過程は CARMENCITA のウェブサイト で紹介されています。